鼻濁音その2

3/31の日記に、「鼻濁音がわからない」と書きましたが、この↓ページを見て少しわかってきた感覚がしてきました。
http://www16.ocn.ne.jp/~ondoku/nyumon6.html




鼻濁音/ŋ/は鼻音ですから、/n/などと同様に鼻を抓むと詰まった音に変わります。対して、軟口蓋破裂音/g/は鼻を抓んでもほとんど同じ音で発音されるのです。つまり、実際に鼻を抓んで発音してみることにより、自分が濁音を発音しているのか、鼻濁音を発音しているのかが確認できるのです。


その結果としてわかったのは、「自分は鼻濁音を話しているのではないか?」ということです。鼻を抓んで話すと、発音できないということではないんですが、語中のが行のところでは鼻詰まりの音になっていました。特に顕著な差が出たのが「が」と「ご」で、この二つの発音については、明確に濁音と鼻濁音に差が出ていました。具体的には、語頭と語中・語尾では後者のほうが、明らかに鼻に抜けている、発音位置が違っているということが確認できたのです。「ぐ」もそれなりに差がありました。
この方法で確認してみると、/ŋ/と/g/、同じ軟口蓋音といっても、だいぶ発声位置に差があるということがわかります。/ŋ/は鼻音だけに、かなり鼻に近い上のほうで発音していて、対して/g/は喉のほうで摩擦を起こしている感じ。




そして、残る「ぎ」と「げ」ですが、これを発音して思ったのは、「余計なところまで鼻濁音になっているのではないか?」ということです。つまり、この二文字では、語頭まで鼻濁音になっていたんです。なので、鼻を抓んで発音すると、語頭・語中に関わらずどうしても詰まっちゃうんです。
この理由は何なんだかさっぱりわかりません。小さいころから鼻が詰まっていたからかな? 関係ないか。とにかく、僕が鼻濁音のことをよくわからなかったのは、濁音のが行よりも鼻濁音のが行を使っている比率が高かったからなのではないかということがわかりました。


この/i/と/e/の二つの母音で思い浮かぶことといったら、ドイツ語における"ch"の発音の違いです。ドイツ語では手前に/a/、/o/、/u/が来たときには"ch"は軟口蓋摩擦音/x/で発音され、それ以外では硬口蓋摩擦音/ç/です。軟口蓋は、口内の天井部分のうち、後ろの柔らかい部分、硬口蓋は真ん中らへんのの硬い部分です。硬口蓋で発音する子音ってあんまりないのでわかりにくいですが。つまりドイツ語では、この3種の母音のときは調音位置が後ろに下がってるんです。で、僕の発音の鼻濁音化の原因は、それと同じように、/i/と/e/のときに調音位置が少し手前に来てしまっているのではないかと推測できます。






話がそれすぎたので、最後に鼻濁音の例外について。僕は「語の結びつきによって濁音と鼻濁音の弁別があるのがわからない」と書きました。「日本銀行」と「日銀」の違いがわからないってやつですね。先述のとおり、僕の語頭の「ぎ」は少なくとも鼻濁音に近い音なので、この二つを比べてもわからないのは当然だったわけです。それに、前の発音が/n/で、引っ張られて鼻濁音になりやすいだろうし。
というわけで、「中学校」と「高等学校」で比べることにしました。鼻を抓んでみると、やはりなんとなく区別ができているようなんです。この区別は、僕の頭の中で、一体どうやってなされているのか? という疑問がわきます。


で、思ったんですが、結局「語の結びつき」で説明される濁音と鼻濁音の弁別は、実は「語の長さ」で為されているんじゃないかと思うんですね。「中学校」の「が」は、先頭から3モーラ目だからまだ一つながり、鼻濁音。「高等学校」の「が」は、先頭から5モーラ目だから長い。離れている。そろそろ濁音。という感じで。だって、結びつきによって変わるというけど、その理屈で「5モーラ目以降にある、結びつきが強くて鼻濁音になるが行」とか、「4モーラ(3モーラか?)以前にあるけど、結びつきが弱くて濁音になるが行」という例が挙がらないじゃないですか。だから、日本語の発音リズムに合わせて一定の長さに単語の区切りがあって、そこにが行がきたら、リズムで濁音に戻される、みたいなものなんだと思います。





最後に、やっぱり僕は、外来語も平気で鼻濁音にしてました! 「イギリス」とか「ハンガー」とかね。