英語の発音について

言語学が大好きな僕が、数日前にふと思いついたので、ちょっと書いてみる。でもソースは全てwikipediaです*1




初めて英語を習うとき、「日本語にはない発音」に悩まされるものです。「f・v」とか、「lとr」とか、「th」とか。実際、それらの発音の難易度ってどんなもんなの? と思うわけです。
なお、同程度に問題になる「閉音節の存在」については、こればっかりはどうしようもないので、できるようにならないといかん。標準語では母音弱化によって、閉音節がかなりの頻度で存在するから、そんなに難しくはないのかな?



(1)/l/と/r/
Engrish」の表現にもあるように、日本人がlとrを区別できないのは大きな問題であるかのような感覚を持っていると思いますが、果たしてこれは日本語が異常なのだろうか? と言うとそうではなくて、たとえば朝鮮語にもlとrの区別はないし、アジアの言語には区別がないものが多いそうですね。
では、日本人が/l/と/r/を区別できないかと言ったら、実はできるんです。なぜなら、/l/というのは歯茎側音(ないしその類似音)なのに対して、/r/は多くの言語で歯茎ふるえ音、つまり巻き舌だから。巻き舌を区別できない人はいませんよね。
むしろ、英語(およびフランス語)が特殊で、それぞれ、rに割り当てられた音は他の言語にはあまり見られない発音なんだそうです。だから、他言語の英語学習者にとっても、lとrを聞き分けられないことについては当てはまると考えられるわけ。というわけで、聞き分けが難しいのは当然のことなのです。
但し、歯茎ふるえ音を音素に持つ言語の人はその音でrを発音するだろうから、書き分けもできないのは日本語のせいだね。



(2)/f/および/v/
この二つも、日本人には発音しにくい音です。がんばって「ふぁ」とか言ってみても、「上の歯を下唇につけて発音するんだよ」とか言われる。この/f/ですが、発音できる必要はあるのか? ということです。
/f/、すなわち無声唇歯摩擦音は、多くの言語で見られる子音だそうです。対して、日本語の「ふぁ行」(「ふ」を含む)に用いられる子音は、無声両唇摩擦音。この音はなんと、日本語の「ふ」(中世日本語の「は行」)以外ではほとんどみられないそうです。その理由はおそらく、両者は非常に似通っているから。これは、/f/の発音は無理にしなくても良いということを示唆しているんじゃないでしょうか?
なお、その有声音であるところの/v/(有声唇歯摩擦音)と、/b/(有声両唇破裂音)の区別は、多くの言語が持っているようなので、習得しないといけないみたいです。日本語では表記の上では「ヴ行」がありますが、発音上では完全に同一視されています。但し、同様にbとvを区別できない言語の心強い味方としてスペイン語が存在します(スペイン語では、BarcelonaとValenciaの最初の字は同一発音。スペイン語では有声両唇摩擦音/β/になるらしい)。



(3)/θ/および/ð/
こいつも、突然登場する知らない発音ですね。無声歯摩擦音と、有声歯摩擦音。ただし、これらの発音も英語やギリシャ語など一部の言語しか持っていない珍しいものらしいです。黒人英語(ヒップホップとかで見られるやつ)に於いては、それぞれは/d/や/t/で発音されるそうです。つまり、発音できない言語が殆ど、スタートラインは同じということです。






英語を習ったばかりのときは、「日本語は50音しかないから発音がすごく少ない、英語の発音は難しい」と思わされていたもんですが、何のことはない、他の言語からみても英語の発音は難しいはずなんだ、僕はそう思いました。もちろん、英語を習う以上最終的には英語の発音ができてしかるべきですが、初めて聴いたときには上の知識をトリビア的に教えれば気が楽になるのでは。

*1:但し、発音関連はさすがに営利目的での改変はないと思われるのでまともなことが書かれてるんじゃないでしょうか