難しい鼻濁音

メガ文字だそうで、新聞の文字が今日から大きくなってました。どれだけ違和感があるものか……と身構えてたんですが、実際見たらそこまでのものではなかったです。これで多くの人が見やすくなると感じるんならまあいいかな……と。
ただ、スポーツ面はそうはいかなかった。何あの超巨大広告!! 見開きの下半分広告ってどういうことか。文字をでかくしただけでは確かに違和感はないのだが、それに加えて広告で記事のスペースが小さくなると、途端に紙面がものすごく窮屈に感じるようになります。文字をでかくしたなら、責任とって広告のスペースをこれまでの2/3程度に抑えてください。





で、うちは読売新聞なんですが、記事に鼻濁音について書かれてました。そこに「日銀」は鼻濁音、「日本銀行」は濁音と書かれていて、ビックリしたわけです。想像と違うぞ、と。
というのも、まあ「鼻濁音」と特別な名前がついているからには「日銀」と、どう考えても/g/で発音しそうなところにその鼻濁音が使われるのはうなずける、しかし、「にっぽんぎんこう」、これは、ローマ字で繋げて表記すれば"Nipponginkou"となるわけで、このgが鼻に抜けて発音されることこそ自然に思えるからです。



で、ネット上にある鼻濁音の資料。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BC%BB%E6%BF%81%E9%9F%B3
http://www001.upp.so-net.ne.jp/club-e/mc/onsei06.htm


まず、鼻濁音が「鼻に抜けるように発音する」といわれてもはっきりいってわからない。自分が鼻濁音を使っているのかいないのかもわかりません(僕自身は意識もしてないし多分使ってないと思う)。なので、とりあえず発音記号を確認することにします。Wikipediaによれば鼻濁音の発音記号は/ŋ/、軟口蓋鼻音らしい。これは、英語その他では"ng"と綴られる音で、撥音の後にくるか・が行の音が、撥音と合わさって/ng/から/ŋŋ/と変化してできる音で間違いはないらしい。




そうすると、やっぱり「日銀」も「日本銀行」も同じ音でいいんじゃないか? と思うのだが、二つ目のページを見ると、すっごい複雑な法則があるらしい。複雑なのは鼻濁音になる場合じゃなくて、ならない場合。つまり腐るほど例外があるわけです。基本法則は語頭は/g/、語中は/ŋ/。非常にシンプルに考えればこういうことなんですが、これに例外がある。

  1. 二つに分けられる程度に結合の浅い複合語では、語中でも鼻濁音にならない。
  2. 外来語では鼻濁音にならない。
  3. 数「5」は鼻濁音にならない。

この法則は難しい。特に1番は全くわからない。2番も、普段日本語で鼻濁音で話しているのと同じ構造の発音が外来語で現れたときに、濁音と区別して発音できるのだろうか?
そもそもこれらをまとめて疑問となるのは、「語頭・語中」という区別である。「文頭・文中」なら、話し言葉の中で変化するのはわからないでもないが、「語頭・語中」での区別をつけるためには、話している最中に常に一単語毎に意識する必要があるんじゃないだろうか? それは、寧ろネイティブではなくて鼻濁音を「身につけた」人なら可能なのかもしれないが、ネイティブに鼻濁音を使う人はその弁別が自然にできるのだろうか? と思うのです。「日本銀行」で言うと、自然に続けて発音すれば/nippoŋŋiŋkō/となるものを、わざわざ「これは鼻濁音となるほどの結び付きはない」と判断して/nippon giŋkō/と発音するものなのか、と思ったわけです。




因みに僕は、自分でいくら鼻濁音の試し発音をしてもいまいち理解できなかったので、多分発音出来てないんだろうなぁ……と思います。